インデックスThink difficult. → . . . そして… Ver.1: 2000.01.23
Ver.1.4: 2001.09.15
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パリ・CDG空港近郊の上空

. . . そしてThink difficult.

 あれから何が変わったのだろうか。

 窓と林檎を終了させたのは1998年1月。ちょうど2年前だ。 あのころは、まだiMacもなかった。トランスルーセントもなかった。 USBもなかった(といっていいだろう、iMac発売までは)。MS分割案もなかった。 MacOS XもWindows2000も、古えの名前で呼ばれていた。 ケータイでメールやwebが見れるようになり、 帳面型のマシンでも1024x768という大きな画面サイズが使えるようになった。

 今年は西暦でみたら大きな節目を迎えたというが、それは人間の指が両手で10本だったから。 もし指が12本だったら 12の3乗の2倍で(10進数で言う)3456年が記念すべき年になっていたはず。 我輩にとって2000には、それだけの意味しかない。2048とかの方がずっと感慨があるに違いない。 そもそも、キリスト教で紀元1年と紀元前1年の間に0年がないおかげで、 世紀と最上位桁の切り替わりが末代までずっと一年だけずれ続けていく事になっている。 何とも尻のかゆい話ではないか。その点、ゼロを発見したと言われるインドは偉い。 さすが、ムトゥの国だ。

 一方しかし、キリスト教信者の多い欧米ではそんなことはどうでもよくて、 とっとと今年から世紀も千年紀も切り替わったことにしてるらしい。なんといい加減な。 だいたい「みれにあむ」と聞けば、我輩などはビデオカードが思い浮かんでしょうがない。

 何やらそんな騒がしい世間であるが、 結局あれからコンピュータなるモノの本質は変わったのか? 人々の仕事時間は短くなったか? 客からのクレームは減ったか? カードで安心してオンラインショッピングできるようになったか? どんな周辺機器もつなげばすぐ使えるか? 分厚い説明書なしで使えるソフトは増えたか? インストールやフォーマットにMS-DOSはいらなくなったか? データはどこでも使い回しできるようになったか?

 やっぱり何も変わってないのではないか?

 Appleは復活したという。MSは分割されるかもしれないという。 IntelのチップはPowerPCの遥か先行く周波数を実現している。 いずれも、(我輩を含めて)少し前まで可能性が低いと見られていたことばかりだ。

 変わったことと変わらないこと。 ちょうどここらへんで、何かを書き始めるのにいい時期になった気がするのである。

 突然だが、 ここでちょっと我輩と網との関わりについて一度振り返ってみたいと思う。

1993年E-mailを使い始める
1994年NCSA MosaicとWWWの存在を知る
1995年 自らのwebページを公開する
1996年 自らのwebページに「最近想ツタ事」「窓と林檎の物語」を始める
1997年 webサーバを3webに移行、「真・窓と林檎の物語」を始める
さらに最強の6100を創る会を結成
1998年 「真・窓と林檎の物語」を終了、サーバをpos.toに移行
「マイクロソフト・シンドローム」を出版の後、活動休止状態に入る
1999年 (空白の1年)
2000年 "Think difficult."開始、「最近想ツタ事」も復活
こんな感じだ。皆の衆と比べてどうであろうか。 情報系の学校を出たおかげで、人より多少は網への関わりが早いかも知れんが、 それもたいしたことはない気がする。ちなみにLinuxを知ったのは1993年であるから、 これはかなり早い方かもしれない。

 さて、この先、果たしてネットが新聞やテレビの代わりになれるのか? 出版社はなくなるのか? 電子による直接民主主義は実現されるのか? 速すぎるCPUと無駄な消費電力はどうする? 全てを半透明にすればいいのか? JobsはあのNeXTのデザインを忘れてしまったのか? コンピュータのデザインはどこへ行く? GUIを越えて何を作る? 高度情報化社会って言っても、 高度な情報って何なんだ? Play Station 2も控えてるし、 陰照の「板に有無」も雷茄子さんの会社の「狂う層」も面白そうだ。

 まさに興味は尽きない。そして、書きたいことも山積みだ。 それなら何か始めましょうというのがこの文章なのだ。

 今回、新しく "Think difficult."というコラム(なのか?)を始めるにあたって、 窓と林檎時代に自らに課していた以下の制限を解き放とうと思う。 つまり、今後はこのようなことはないということである。

  • 文章だけ
  • 文章はもちろん力を入れるのに変わりないが、 図を描いた方が早い場合はとっととそうすることにした。 写真やグラフもあるであろう。 他にも、BGMはないと思うが、波形ファイルくらいはあるかもしれない。
  • リンクはしない
  • 以前は、リンク先がなくなるのが嫌だったので文章中からリンクはしていなかった。 もうそれも終わりにしよう。リンク先がなくなったら、なくなった奴が悪いことに決定。 反論は却下だ。
  • なるべく英単語は漢字にする
  • これも理由は単に最初に文章をおいていたサーバが某大学内だったからで、 今は関係ない。 書いているうちに漢字にする面白さも分かってきたが、 これからは無理に全てを漢字にはしない。 もちろん、気に入ったのは使っていきますよ、門様。
  • 公開後の修正はしない
  • 以前は公開まで練りに練って、その後は一度も変更しなかった。 そうやって文章に責任を持とうとしていたからだ。 でも今度から、気が変わったらとっとと書き直すことにする。 我輩のページなのだから何でもやりたいようにすればいいということに気付く、 今日この頃なのであった。
  • 毎週更新する
  • 結局、窓と林檎が長続きしなかった理由はこれだった気がする。 それを考えると外崎さんはすごいなあ。 しかも、第100回でやめる機会を逃したので、 まだしばらく続けるそうな。我輩は頭が上がりませぬ。 でも、もう本は書かないと言われてしまった。残念。
  • コンピュータ関係に限る
  • 最初はMacとWindows、その後コンピュータ一般にまで広げていた話題であるが、 もう何でもありということにする。コンピュータが全然出ない回もあったりするかも知れんが、 そういう時は「はよかったなあ」と、遠い目でもして欲しいもんである。
  • デザインにおける統一感
  • とりあえず今は、各ページで統一しておいた方が作業が楽、 というか考えている時間が足りないだけなのだが、 そのうちいろいろ遊んでみようと思う。 いきなりデザインがブッとんでも驚かないで下され。
  • 自分で確認できないことは載せない
  • 以前は、他人から聞いた話でも自分で確認できない内容は載せなかった。 今度からは送られてきたメールで興味深い内容があればどんどん取り上げていきたいと思っているのである。 載せられて困るものはそう書いておいて下され。 なぜ気が変わったかというと、 「情報は自ら発するものに集まる」というweb上の真理があるからである。
    まあ、こんな感じで以前の我輩のページとはだいぶ経路、もとい毛色が変わる予定である。

     ところで本当はこんなものも考えたのであるが、

    Sink different.
    やっぱり頭文字からして違うというのは今一つな感じなのでやめたのであった。 別に、 絶妙な流しの定義から始まって、sinkとsourceにいってカオス理論やストレインジ・アトラクタへ 進んでもいいかと思ったが、誰も喜びそうにないのでやめた次第である。 他にも "Ink different." "Mink different." なるものも考えたのであるが、 一回でネタが尽きそうなのでこれもやめた。タイトルを決めるのはなかなか一苦労なのである。

     今回、久しぶりに広く他人に公開する文章を書いてみて、だんだん筆(というか、指)がこなれてきた。 書いているうちに次々にネタを思いつく、あのころの感覚がだんだん戻りつつある。 そりゃそうだ、我輩はずっと、書くことを抑えてきたのだから。 そして、今、得体の知れない新しいページとして始めようとしている。 上にあげたことはあくまで予定だ。どうなるかは書いてみなければわからない。 まだ次回の時期もタイトルも決めてない。 インデックスページにある他のタイトルも、とりあえず予約入れときました、 みたいな感じである。他人に知られてしまえばそのうち嫌でも書かざるを得ないだろうという、 実に計算された企てなのである。

     さてさて、遠い昔のその昔、幼稚園児は動きが速かった。 公衆便所は100万人が使った。隠し子はまだ隠れてる。 鼠は半透明になった。あれを越える比喩がまた作れるだろうか?

     大丈夫、2年間でネタはまた貯ってる。 今度の蓄音機は針が複数だ。5色の流しソーメンだって出番を待ってる。 七人の魔法使いもようやく登場だ。腹の減った哲学者もいるし、 愛松苦、愛仏苦なんてのもある(うーむ、これはやめた方がいいかもしれない)。

     で、結局、Think difficult. って何? つまりは「みんな、もう少し頭を使ってみようではないか」という我輩の提案なのである。 この世をバータリーの帝国にしないため、 面倒くさがらずに、立ち止まってちょっとだけ考えてみれば、 いろいろな事が見えてくるはずなのだ。 そういう目的で、いろいろ書いていくつもりなのである。

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