Tales of Mados & Ringos / 真・窓と林檎の物語
トップ窓と林檎 → 網間に漂う… 1998.01.05

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真・窓と林檎の物語
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網間に漂う海賊達

  さてさて今回は、人類に残された最後のフロンティア、 網間の仮想世界に漂う数々の犯罪者についてちまちまと書いていくことにする。 これらの犯罪の全てに共通しているのは、何らかの形で「詐欺」になっていることである。 「詐欺」という形になっていない点で、網間を流れるパスワードや個人情報、 メールを盗み見る類の犯罪にはここでは触れない。 こういうのはそれなりの知識と経験を必要とするし、 誰でもホイホイとやってみるかという訳にはいかない。 他にも、ねずみ講のメールがワンサと送られて来て、太い血管が切れそうになっている輩も多いであろうが、 これも省く。 というわけで、とにかく「偽りの情報で金を稼ぐ」というタイプの犯罪に絞って書いていこう。

  こういう偽情報詐欺というのは、売れそうな偽の情報を考えつきさえすれば、 べつに網間に詳しくなくても誰でも実行できるものだ。 よくあるのが、マル秘情報を売ります系のページ。 よく考えればそんなもんあるわけねーだろ的な項目ばかりなのだが、 ひっかかる人がいるらしい。やれ

「電波で駐車場の機械を操作して料金を無料に」
「隠しコマンドでグレー電話でどこでも無料通話」
「力率を変更して電気メーターを操作し、料金を変える」
などなど。

  お次は言わずと知れた18禁関係の画像を置いているページ。 海外ならともかく、 このお箸の国でそのものずばりの画像を置いておくとお縄を頂戴することになっている。 そこで、直接は陳列してないが、 お金を払えば秘密のパスワードを教えてあげますってな感じで迫ってくるのだ。 数千円ならまだいい方で、クレジットカードの番号を教えろっていう不届きな奴もいる。 そんなもん、いくら請求されるか恐ろしい限りだ。

  どちらも、こちらから情報の提供者への連絡手段が限られていて、 基本的には「金を払って、待つ」という形態のため、 非常に詐欺をはたらきやすいのだ。 だが、こういう偽情報詐欺の被害にあったと言う話はたいてい水面下にとどまっている。 被害額が数千〜数万円で泣き寝入りする人が多いし、 自分としても不法な情報を欲しがっていたからそんな詐欺にひっかかったわけで、 なかなか被害届けを出したり、消費者センターに相談しにくいという事情もある。

  もちろん、不法なモノや情報でなく、 ごく普通の内容を扱っていても詐欺を行うことは可能だ。 金だけ先に振り込ませて、適当にたまったらトンズラすればいいのだ。 どっかの通信販売業者を装ってもいいし、個人のガレージセールのふりもできる。 我輩だってやろうと思えば簡単だ

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とか書いておいて、偽の単行本の写真と銀行の口座番号でも書いておけば、 一週間のうちにかなりの額が我輩のものになるであろう。 実際、去年アンケートをとった時も書籍化の声は多かったから、 現在の読者数を考えるとかなりのウハウハも想像に難くない。 残念ながら、書籍化してる暇など全然ないけどな。 が、ここで大事なのは、実際にそのモノを持っていなくても、 単なる情報を書くだけで金を得られる可能性があるということだ。 ほとんど何の実質的労力の必要なしに、多くの人を欺く事が可能なのだ。 世界的規模蜘蛛の巣という画期的システムによって一個人が世界全体に向けて発言することが容易になったということは、 その裏返しで世界に対して嘘をつくことも信じられないくらい容易になったということなのだ。

  なにも、偽情報を流す場は蜘蛛の巣の上にとどまらない。 ネットニュースでも電子メールでも、「○○銀行が倒産した!!!」などという発言は、 時節がら、かなりの影響力を持つことは間違いない。 さらに、似たような情報を違う場所で発信者を変えて同時に流せば、 非常に強力な情報操作が可能になる。 あるいは、「東京に数時間以内に大規模な直下型地震が来るという警報が発令された!」とかいうのも非常に迷惑である。 このような偽情報を流した者の追跡、特定は非常に困難であるし、 その罪はどういうものであるかもいまいちはっきりしない。 こういう点は今後数年間のうちにちゃんと法で定めないとやりたい放題されてしまうであろう。 お箸の国はこういう事を決めるのがとっても弱いからな。

  このような悪質な犯罪はたいてい、「情報が金になる」という現代社会の性質を鋭く突いている。 結局のところ、膨大な情報がフィルタなしに直接届くようになったということなのだ。 従来は雑誌や新聞、TVなどを制作する側で様々に加工され、 人々に届くまでに十分にマイルドにされてから伝えられていた情報が、 何の加工もされずに人々の脳にダイレクトに届くようになってきたのだ。 そのため、自らの経験と価値判断に従って、真なる情報と腐った偽情報を切り分けて、 正しい道を進まなければならない。

  最後にもう一つ。詐欺を働くのは個人だけに限らず、企業でもあり得るということだ。 最近の数々の企業の不祥事を見てもわかる通り、 企業と言えど個人にもまして嘘を語るところが多い。 しかも、念入りな嘘を公然と語るため、思わず信頼してしまうことが多い。 さらには金をかけた広告やマスコミそのものの買収によって、至るところで繰り返して嘘をほざくため、 人々は感覚が麻痺してしまう。 そして、中身のない、ゴミ寸前の製品を買わされてしまうのだ。 去年そなたが買った製品の中で、払った金額に見合う期待通りの内容だったものはいくつあったか? その製品の広告に偽りは全くなかったか?胸に手をあてて、よく考えてみるといい。

  最後に信じられるのは、やっぱり自分だけだ。

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