Tales of Mados & Ringos / 真・窓と林檎の物語
トップ窓と林檎 → 通信の… 1997.08.18

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真・窓と林檎の物語
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通信の耐えられない遅さ

  さてさて、今宵のお題は昨今の網間ブームの影に潜む、 人知れぬ数々の涙の話である。 窓際や林檎には直接の関連はないが、 間接的にはすごく関係するので、心して読んでもらいたい。 多少は数学的な話も出てくるが、 意外と知られていない盲点であるからして、 理解すればきっと他人に自慢できるであろう。 では、とっとと始めるんである。

  最近、我輩は集積奉仕離散網(ひどい訳だ)という電話網に移行したが、 これはなかなかに快適である。 が、それは個人的な環境の話で、 さらには某所でぶっとい専用線も自由に使えるという、非常に恵まれた環境に我輩はある。 が、その「ごくらく網間彷徨!」が約束された環境でさえ、 時々信じられない遅さに遭遇する。 秒速2バイトとか、そういう類の遅さである。 専用線で繋がってて、外部と80KB毎秒(単位はバイトだ、ビットではない)とかで通信できるはずの環境で、なぜに2バイト???? そんなもん、電話口で口頭でやりとりしたって、その程度のスピードが出るだろうが! まったくもう、最近の信じられない遅さには怒り心頭である。 どうして、このような現状に至ったのだろうか? 少し、頭を冷やして考えてみよう。

  「待ち行列理論」というのをご存知だろうか? 別に

「行列に並んでいる人は、前を通りすぎる人をにらむ傾向がある」
とか
「行列は反時計周りに伸びて行きやすい」
とかそういう理論ではない。 理系の大学でM/M/1やらM/G/1やらやらされた、 システム関連の学科の卒業生ならご存知だろうが、 たいていの人は知らんだろうからごくごく肝だけを書いておく。 大事な部分をごく簡単な例えで言うと、 レジの待ちの列の長さとレジの数は反比例ではないのだ。 なに、全然わからんだと? では教えてしんぜよう。もう少し具体的な数字で考えてみよう。

  なぜか、近所のコンビニにはレジが一つしか無く、 いつも混んでてレジ前にはいつも平均で10人の人が待っているとする。 さて、ここでレジをもう一つ増やすと、待ちの人数は何人になるだろうか? レジが二つになったから、10÷2で5人?ま、単純にはそう考えるわな。 だが、しかし、But、However、そうではないのだ。 ま、待ち行列のモデルにもよるが、 この単純な例では答えは1人未満になってしまうのだ。 へ?どうしてそうなるのかって? 詳しい理由は専門書に譲るが、そうなってるものはそうなるのだ。 ごくてきとーにその理由を説明すると、 列が長くなるには、誰かが並んでいる最中に、さらに後ろに人が来なければならない。 もしレジが1つだと、前の人が並んでいるところへまた人が並び、 それらを店員がさばいている間にもどんどん列の後ろへ人がたまってしまうということになるのだ。 しかし、レジが2つあると、レジに人が並んでいること自体が非常に少なくなって、 列そのものがほとんどできないのだ。 皆の衆も経験するであろう。 レジの列は出来始めるとどんどん長くなってイライラすることを。 結局自分が列の一番最後のままレジまで進んでさらに頭に来たりする。 これはすごく単純な例だが、こういうことのすごく難しいのをお勉強するのが、 待ち行列理論だと言える(なんと乱暴な)。 これで、黄金週間の高速道路の料金所で、 あの鬼のような渋滞が引き起こされる理由がなんとなくわかったであろう。

  で、どうしてこのような小難しい例を出したかと言うと、 もうお気づきであろう、 「通信の、耐えられない遅さ」も基本的にはこれが理由だからである。 網上を流れるパケットがあっちやこっちで渋滞を起こし、サーバはサーバでさばくべきデータが溜まりまくっているのだ。 網上で生活する人々は日々増えて続けているが、 さきほどの待ち行列の理論からわかるように、 網上に流れているパケットの量が2倍になっただけで、 待ち時間は5倍、10倍と増えて行くのだ。 しかし、世のタコどもはそういう厳しい現実が全くわかっていない。 ただ、夢の世界が広がっていると信じている。 例えば、黄色い魔術の楽団の教授なる人物は、 網間放送などという他人には迷惑千万な試みをうれしそうに実施して喜んでいる (彼の音楽自体は嫌いではないが、網間で放送なんぞするのがいかんのだ)。 あるいは、どっかの網間供給者が網間電話なる凶悪な技術を導入して、 ただでさえ遅い回線速度をさらに遅くしている。 他にも、世界初・24時間網間放送局!などと申して、 世界中に不毛なデータをうれしそうに垂れ流し続ける輩まで出て来る始末(まさに「たれ流し」だ)。 いいか、現状の網間はもはやそれほどの余裕はないのだぞよ!

  電子メールに関しても、いろいろ良からぬ話を聞いている。 例えば、ある人は70Mバイトのメールを受け取ったそうな。 一体、中身はなんだったんであろうか? どっかの操作系統でもまるごと受け取ったんであろうか? 他にも、ある会社では社内のルールで書類を電子化することになり、 電子メールも積極的に使われることになった。 が、電子メールで送られて来たのは、 添付された実際の書類をスキャンした画像だったそうな。 おまえなぁ、どういう脳味噌の構造をしているのだ? もう実際に書類があるなら、 それを使ったほうがエネルギーの消費が少ないだろうが!全くもう! どうしてそういう事までいちいち言われないとわからないんであろうか。

  世界的規模の蜘蛛の巣に関しても、状況は悪化するばかりである。 扉ページからして、画像満載で、鬼のような重さを誇るページとか、 うれしそうに覚えたての枠を使いまくって、 内容が散乱する読みにくいだけのページだったり、 理解不能な怪しいリンク構造になっていたりと、 枚挙にいとまが無い(枠が嫌いな人は、こちらへどうぞ)。 あと、最近目立つのが、小さい画像を貼りまくりの輩だ。 小さい画像はHTTPの性質上、いちいち能率の悪い細かい接続・解除を繰り返すので、 合計で同じ容量の一つの画像の転送に比べると、数倍よけいに時間がかかる。

  まったく、これらのページの作者は自分のページを客観的に眺めたことがあるのであろうか? 自分が使っている環境以外の環境で、自分のページがどのように見えるのか、 どの程度の時間で表示されるのか、チェックしたことがないのか? そういうことは、人に見られる物を作るためには、必要最低限のことだ。 う〜む、よく考えればここで我輩がこんな説教をする理由がよくわからんが、 ま、とにかく、必要以上に網間を渋滞させることがないように、 皆の衆も精進せいや

  といいつつ、我輩のページも渋滞に一役買ってるな。はて、どうしたものか。

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