Tales of Mados & Ringos / 真・窓と林檎の物語
トップ窓と林檎 → スピード狂… 1997.12.08

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真・窓と林檎の物語
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スピード狂の投資術

  世の中には、自分のマシンのスピードを世界最速にしたい輩がゴマンといる。 それも、実用的な価値を求めてではなく、単なる自己満足のために。 今宵はそんなスピード狂の輩たちに、少し頭を冷やしてもらうべく、 ちまちま書いていくことにする。

  コンピュータの性能に対するコストが株価のごとく暴落を続ける現在、 コンピュータを購入することは一種の投資と言える。そう、「資材を投げる」のだ。 では、効率の良い投資とはどのようなものであろうか。

  そもそも、人はコンピュータの何に金を払うのであろうか? 処理速度か? 外見か? 所有する喜びか? 人に自慢するためか? 使いたいソフトがあるから? 見たいウェブページがあるから? 文房具として使うから? 仕事のため? ただ、使うこと自体が目的? この中のどれか一つという事はないだろうし、百人いれば一万通りくらいの答えがあるであろう。 これらの目的の全てに直接、間接に関わってくるのが、マシンの性能である。 そして、個人の資金の限界が、買えるマシンの性能の限界を決定する。

  だいたい、コンピュータにおける『性能』はそれほど重要なのであろうか? 答えを最初に言えば、"YES"である。重要か、重要でないか、といえば、確実に重要である。 だが、「最も重要かどうか?」と問われれば、疑問である。 費用との関わりを考えた場合、ひたすら速度を追求する事は余りに無駄が多いのだ。 それは、こういう理由である。 現在では、速いマシンほど価格性能比が悪いというジレンマに陥っている。 昔はそうではなかった。 例えば硬派円盤などは今でも、容量が大きくなればなる程、バイト当たりの価格が安い。 それはつまり、3万円の製品で2万円の製品の倍の容量を持っているってことである。 でかければでかい程、お買い得なのである。 これに対して、コンピュータ本体、あるいはCPU自体の価格はどうであろうか? 2倍の金を払っても、性能は1.2倍や1.3倍にしかならない。 この傾向は特に陰照製品に著しい。 陰照も先進的微小装置などの互換チップメーカに食われて、 いやいや価格を下げてはいるものの、性能が今一つ上がらない割には高い値段で売りつけている。 おかげで、高価なマシンと普及価格のマシンの性能差がほとんどないのだ。 実際、20万円のマシンと50万円のマシンは、 記憶素子や硬派円盤の容量以外には実質的な性能差はないといっていい。

  林檎でも、最近は三代目PowerPCの投入によって、 製品ラインの価格と性能の秩序が大きく崩れている。 それが、Jobsの言う『考違』というスローガンの意味するところであるのかも知れない。

  では、コンピュータの周辺で一番遅いのは何であろうか?言うまでもなく、ヒトである。 電話線という強敵もいるが、 たいていの場合、マシンの処理速度に比べて人間が最も遅い。 人間の思考回路に大幅な向上は望めない以上、計算能力の有効な利用を考えなれればならない。 考え付けなかったら、そなたには計算能力の低いマシンで十分なのだ。

  では、どうしたら、適当な計算能力のマシンを経済的に手にいれる事ができるのか? 『中古を買え!』、これが答えである。 別に祖父末府で買う必要はない。 いつかの窓達約百騒動の時に大挙して購入されたものの、 全然使われなかったマシンがちょっと周囲を見回せばいくらでもあるであろう。 友人やら同僚やらに聞いてみれば、5台や10台すぐに見つかるであろう。 たいていの人には、そういうマシンで用が足りるのだ。 なにも新品に30万も出す必要はない。10万の中古で十分なのだ。 おまけに、ほとんど使われてなかったので、外見は新品同様だ。 「もったいないオバケ」を忘れては、これからの時代はやっていけない。

  地球温暖化が進む21世紀に生きる我々は、コンピュータが環境に与える影響についても、 いつも注意を払ってないといかん。 そなたが今日からできる事は、電気の節約だ。電力を生み出すために、 地球上で今この瞬間も膨大な量の化石燃料から二酸化炭素が排出されている。 電力消費を減らせば、原子力発電所などという物議のタネも必要なくなるし、 毎月の電気代だって少しだが確実に安くなる。

  例えば、我輩などは、ディスプレイを使っているときは部屋のエアコンは切ったままだ。 ディスプレイというのは、なかなかに電気を食うものなのだ。 電子レンジやドライヤーなども電気食いだが、それらはごく短時間だ。 電子レンジを8時間も使ったり、ドライヤーを24時間運転させる奴は少ないであろう。 しかし、コンピュータ関連機器は5時間、 10時間はザラ、24時間だってあり得る(個人の家庭では少ないだろうが)。 CRTのディスプレイなどは、頻繁に電源をON/OFFすると寿命を縮めるという話もあるが、 どうせCRTはあと数年でほとんど液晶に入れ替わるので、 そんなに気にしなくてもいいと思われる。 というわけで、できることなら使わない機械の電源は切るべし。 これが未来の自分のために今この瞬間にできる事だ。 我輩だけが実践していてもたいした効果はないだろうが、 幸いにして我輩のページを読んでくれる読者は数千人もいる。 数千人規模で実践してみればかなりの効果はあるだろうと期待しておるので、 ぜひ御協力をお願いしたいもんである。

  ところで、陰照の最近のチップの電気のバカ食いは目に余るものがあるのう。 その昔、倉升と呼ばれたPentiumIIは特に極悪で、 こんなものをサーバに仕立てて24時間運用すれば、 地球の温暖化に確実に貢献できるであろう。

  実は、電力消費量や騒音の観点からみれば、帳面型マシンというのは実に優れている。 実際、我輩が一番長い時間使っているのも、いつも持ち歩いている帳面型である。 もちろん、中古で買った。 たいして性能の変わらない新製品に高い金を出すつもりなどないのだ。 我輩の場合、本業や副業の関係上、 コンピュータを触っている時間のほとんどはプログラムや文章の入力のためのエディタを使っているのであるからして、 余計な性能は必要ない(プログラムの実行には強力な計算パワーがいるが、それは別のマシンでやる)。まして、複媒体拡張などもってのほかだ。 帳面型は机上のコンピュータの10分の1程度の電力しか消費しないので、 帳面を10時間使うのと、でかいマシンを1時間使うのは同じ電気の消費なのだ。

  でかいといえば、東京芝浦の電気屋のマシンは、タンスのような巨大さだな。 あと、粗兄の倍尾とやらも、帳面型は結構まともなものの、 机上型のディスプレイなどはまるで冷蔵庫のようなでかさだ。 日本の土地は有限なんだぞ、まったくもう。

  最後に、これだけは覚えておくのじゃぞ。 新しいマシンを買えば、今のマシンで10秒かかる処理が5秒になるかもしれない。 でも、新しいマシンを買わなかったからといって、今のマシンの10秒は10秒のまま、 決して遅くなるわけではないのだ。10秒が20秒になるような事はない。 新しいマシンを買わないと今より悪くなるような気がしている人は、 メーカーのバカな宣伝に見事に踊らされているのだ。 今のマシンはずっと今の性能を保ち続けている。 新しいマシンを買う前に、その資金で他に何が買えるかを、胸に手を当てて、 今一度考えてみるべし。視界になかった、別の使い道が見えてくるはずだ。

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