Tales of Mados & Ringos / 真・窓と林檎の物語
トップ窓と林檎 → 林檎再生…2 1997.10.20

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真・窓と林檎の物語
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林檎再生へのシナリオ(中)

  ここに述べる文章は、これから起こる事の予測ではなく、 あくまで我輩の願望を文章にしたものである。 従って、この通りにならなかったといって、文句を言わないで頂きたい。 しかも、ありもしない数字やらチップ名やら多数出てくるが、 全て想像上の産物であることにも注意されたし。

  そして、これは1999年の春の時点での物語として書いていくので、 「今年」というのは99年の事であり、それ以前のことは全て過去形で記してある。

  さあ、今回は満を持してRhapsodyが登場する。

  去年の10月1日、Rhapsody Unified Release発表に伴い、 ついにApple ComputerはApple HardApple Softへと二分された。 一部にはAppleはハードウェアから撤退し、OSメーカとして再出発するのでは、 という見方もあったが、結局ハードウェアも売り続ける道を選択した。

  Apple Hardは他の互換機メーカに比べて特に抜きん出た技術力はなかったものの、 その製品デザインと付加価値で互換機陣営を押さえ込んでいる。 実際、分社されてからも旧Appleのハードウェア部門より28%も売上が増加した(98年度第4四半期)。 Apple Hardは旧AppleとIBM、モトローラがそれぞれ3分の1ずつ出資して作られた会社で、 eMateやNewton部門も持っていた。 また、旧PowerComputingの工場設備などの資産や直販などのノウハウを持っている事も、 他の互換機メーカとの競争に役立っていた。 Apple HardのCEOについたのは、ハリウッドの映画製作現場で働いていた有名デザイナーであったが、 コンピュータ業界では無名の人物であった。 なお、テクニカルアドバイザとして、(形の上では)Steve Wozniakが就任している。

  去年10月にApple Hardと同時に誕生したApple Softはドル箱のクラリスを吸収して、 MS Officeに対抗できるスイートの開発を目指している(もちろん、OSも作っているが)。 CEOは分社直前までAppleのCEOだったJobsがそのままApple Softの会長兼CEOになった。 そのせいもあってか、 Apple Hardへと移ると見られたNC部門は取締役会におけるJobsの強引な決定により、Apple Softへと統合された。 まあ、これはApple Soft設立時にオラクルが25%出資しているし、 Apple Softの取締役兼戦略アドバイザにオラクルCEOのラリー・エリソンが就任したことからも当然といえば当然ではあるが。

  去年(98年)10月のRhapsody Unified Releaseと同時に発売されたMacOS10は、 RhapsodyのパッケージからYellow Boxを除いたものと完全に同一であった。 しかもOS10においては、Machカーネル上で動作することで、 OS全体が「落ちる」という現象は完全に駆逐された。 アプリケーションだけが落ちることはまだあるものの、いわゆる「ふつう」のUNIXマシンと同じく、 電源を半年入れっ放しにしても落ちないようになった。 ま、アプリケーションのみが落ちることは現在のコンピュータシステムやOSでは原理的に回避不可能なので、 その意味ではRhapsodyは現状での完成形にかなり近いOSとなっている。

  98年後半からIntelチップとPowerPCの性能差がようやく有意なものに達し(この話は次回に詳しく)、 ジワジワとWindowsNTのサーバ市場がRhapsodyに食われ始めた。 というか、AppleSoftとしてはサーバ目的で売りたかったのだが、 それに限らず非常に広範囲に広まっていった。特に、今までUNIX系OSを使いたかったが、 今一つ難しそうで敬遠していた人をうまく取り込む事に成功した。 去年10月、Apple分社と同時に発売されたRhapsody Unified Releaseは、開発環境パッケージが$680、 実売で$530程度であり、Rhapdosy for PowerPC,Intel,WinNTの全ての版が入っていて、 クロスプラットフォーム開発の最右翼に踊り出ることとなった。 また、開発環境なしのプラットフォーム別パッケージは$180で、 今では実売は$145程度に下がって来ている。3プラットフォーム入りパッケージは$320で、実売 $260である。

  Rhapsody上のBlueBox(MacOS10)は、外見は予想以上にOS9(つまりOS8にも)に近い。 というか、中身もMachカーネル上で動いている点以外はMacOS9からほとんど変更された点はない。 JobsはMacOSも今後10年間はサポートするとは言っているが、 もうこれ以上改良できない、進化の袋小路に入ったMacOSであるからして、 心の中ではなるべく早くRhapsodyに移ってもらいたいと思っているに違いない。 実際、MacOS10(というかBlueBox)以後のMacOSの開発スケジュールは今だに明らかにされてない点も、 MacOSは10で打ち止めの可能性を示唆している。 ま、小数点以下の細かい数字でバグ直しやらがされるとは思うが。

  で、肝心のRhapsodyの中身についてである。 まず、BlueBoxの互換性は非常に高く、ほとんど100%に近いソフトウェアが動作している。 さらに、アプリケーションがフリーズしてもBlueBoxだけを立ち上げ直すだけで済むし、 「BlueBoxを自動的に再起動」にチェックマークを入れておけば裏で勝手に立ち上がってくれるようになった。 が、完璧な互換性と引き替えに、実行スピードはOS8やOS9などに比べて、 80%から最高でも110%と多少低下しているのは、まあ仕方がない。 ディスクアクセスが集中するタスクなどでは、180%に近い高速性を発揮することもあるが。 いずれにしろ、500MHzを越えるPowerPCチップが恐ろしく快適な操作環境を提供していることは間違いない。 そして、運命のYellowBoxである。 Machカーネル上でNeXTSTEPの頃から動作している実績もあり、 強力な統合環境をもたらしている。Photoshop,PageMaker,QuarkExpress,Painter,Netscapeなど、 メジャーなアプリはRhapsodyと同時に発売された。

  今年4月に発売予定のRhapsody1.1の目玉はようやく満足にSMP(Symetric Multi Processing)に対応した点である。 Beta版では既に2プロセッサで1.7倍、4プロセッサで2.8倍程度の性能向上が計られ、 SMP対応OSとして、まずまずの性能を記録している。

  ここらへんで、微軟についても書いておこう。 全体的に今一つの完成度と話題性で95の再来とはならなかったWindows98だが、 門様はこれに懲りず、 ついにNTと98の融合を果たす新世紀のOS "Windows/21"を大々的に発表した。 2001年春に完成が予定されているこのOSでは、 長いこと別の道を歩んで来たWindows系とNT系がついに一つのOSとして統合されるらしい。 このOSによって家庭にあるテレビや洗濯機から、 スーパーコンピュータまで完全に一つのOSで制御できることが売り文句である。

  そして、微軟+陰照の黄金コンビに対抗する勢力が力をつけていくのを尻目に、 ついに門様も大きな賭けに出た。なんと、陰照以外のチップにもWindows/21を載せると言うのだ。 実質、これはほとんどPowerPCを載せたMac互換機を狙い打ちしていると言ってよい。 現状ではこれは門様が先走って勝手に言い出してる状態ってのが正しいが、 まだWindows/21の発売までにはかなりの日数があるので、どうなることやら。 ところで、構想がころころと変わる微軟の戦略の中にあって、比較的長いこと続いていたNetPCも、 個々のマシンの管理の問題が全てサーバに移動しただけで、結局は問題のトータルを減らすことができない、 という批判(まったく正論だが)が続出し、 いつの間にか門様自身の口からもNetPCという名前を聞かなくなってしまった。

  そもそも、微軟の威光に陰りが見えて来たのは去年の年末に門様が2週間ほど緊急入院してからである。病名こそ伏せられていたが、おそらく過度のストレスが原因でなんらかの内臓疾患を誘発したものと報道されている。門様緊急入院のニュースが知れ渡ると微軟の株価は一日で32%も下落し、微軟という大きな会社がほとんど門様一人の才能で支えられているという世間の認識をさらに深める結果となった。2週間という短期間だったため、微軟の戦略決定など実際にはほとんど支障は出なかったが、いずれにしても門様の強すぎるカリスマが力を発揮しなくなった時にどうするか?という頭の痛い難問を残した形となった。

  我輩は市場規模とかシェアの率とか、表面的な数字にはあまり興味がないのであるが、 このへんで少し触れておこう。 98年の統計では、出荷台数ベースで米の国ではAppleHard 7% + 互換機計4% の11%まで回復し、さ らに教育市場にのみ売れた林檎マークのNCが1%のシェアを得て、合計計12%まで何とか上昇した。 一方、お箸の国ではAppleHardが13%、互換機計6%まで回復、NCは1%未満だが、 合計でなんと20%まで回復したそうな。 稼働OSベースでは、サーバマシンにおいてWindowsNTの11%、 UNIX系の5%がRhapsodyへ98年中に移行したと報告されている。 実際、Windows98ユーザの23%がRhapsodyやその上のYellowBoxを併用し、 Windows雑誌も各誌がRhapsody特集で読者の目をひいている。 もちろん、Macユーザもすでに24%がMacOSからRhapsody+BlueBox+YellowBoxへと移行しており、 これは過去に販売された、Rhapsodyが走るマシンの77%にあたる数字である。こ のように、Rhapsodyは発売から2カ月で260万本を記録し、 旧MacOSからの移行も予想を遥かに上回るスピードで進んだ。

  今年(99年)2月のMacworld EXPO@幕張では、Apple Softの会長兼CEO、Steve Jobsが派手な演説をした。そ の内容は、「"point 3 hitter"(3割打者)を目指す」というもの。 その言葉を裏付けるように、先月末には、99年第一四半期でアメリカ 19%、 日本 27%までシェアが上昇との報告があった。 また、世界市場の合計でも18%のシェアを獲得している。ち なみに、日本ではNECの19%についでAppleHardが16%で第2位まで浮上した。 NECももうすぐ20年近く続いた、国内シェア1位から転落しそうである。諸行無常である。

  さて、ここでガセーおじさんの売っているBeOSについても少し触れておこう。 予想通り、このOSは多くのMacユーザに受け入れられると共に、 WindowsNTに移行しつつあったマルチメディアや映像系のクリエータに格好のプラットフォームを与えることになった。 特に去年の暮れ、ハリウッドの大作映画のCGを多く手掛けているILM(Industrial Light & Magic)にBeOSのPowerPCマシンが大量に導入されたことが報道された事など、 メディアOSとしての地位を着実に固めつつある。 Mac互換機メーカーの大半はBeOSをバンドルしているし、 さらにはBeOS専用に最適化したコンフィグのマシンを売るベンダも少なくない。 日本国内でもCGやマルチメディア系の専門学校では高価なSGIのマシンの代わりにBeOSマシンを導入する例が増加し、 アキバでは○AOXや○フマップがBe館を新設するなど、話 題には事欠かない。数字にすればシェアはまだ1%程度だが、着実に人々の心を掴み始めている。

  さて、MacOS機の推進エンジンであるPowerPCと陰照チップとの争いは? 次回をお楽しみに。

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