Tales of Mados & Ringos / 真・窓と林檎の物語
トップ窓と林檎 → 複媒体… 1997.07.28

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真・窓と林檎の物語
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複媒体拡張の傾向と対策

 

「さてさて、今宵の講義は複媒体拡張だ。 ほら、そこ!寝てないでさっさと黒板の方を向きなさい!」
ということで、複媒体拡張の傾向と対策、さっそく始めるんである。

  最近では、猫も杓子も「複媒体」である。 まったく、タコの一つ覚えのように、 何でも複媒体すればいいと思っている輩が多くて困る。 で、MPU界の巨大な独占企業、「陰照」もやっぱり複媒体がお好きなようである。 複媒体を追求することは別に悪いことではないが、 初心者(中級者、上級者の一部までも)をだますような宣伝には我輩は納得できん。 皆の衆もこの文章を読んで、 複媒体拡張のカラクリを知らない他の人に教えてあげよう。 で、どうするかというと、

「複媒体拡張=お菓子のおまけ」

  という強力な公式をかざして押しまくればOKである。 押して押して押しまくるのだ。初心者は押しに弱い

  そもそも、どうして上のような公式が導かれるのであろうか? それは、以下のような条件をどちらも見事に満たしているからである。

  • 条件(1) おまけが本体よりも魅力的
  • 条件(2) 新しいおまけにいちいち話題騒然
  • 条件(3) おまけは金要らず
  • 条件(4) デカい方が目立つ
では、さっそく順にチェックしていこう。

■条件(1) おまけが本体よりも魅力的

  その通りだ。おまけは人を必要以上に魅惑するものなんである。 お菓子本体よりも、おまけの方がはるかに魅力的なのだ。 特に、お子様向けのお菓子ではその傾向が強い。 価値観が統一されてないお子様にとっては、 全身全霊を傾けて手にいれる価値のあるものと映る。 はい、ここ注目! これはそのまま複媒体拡張になってることに気がついたか〜い? 窓際族のお子様は、みんな複媒体が欲しくてたまらないのだ。 世界のアキバでも、どういうわけか陰照が正式発表する前から売られてたりして、 大きな「お子様」達が買いあさっていた。 全体的にはたった10%の速度向上の割に価格が倍近くしても、 対応アプリが出揃ってなくても、 とにかく人様より先に「持っていれば」それでいいのだった(今は価格差はだいぶ縮まってきたが)。 Pentiumであることより、複媒体拡張が主になっている。 おまけが本体を食うってことで、

  • 条件(1) おまけが本体よりも魅力的
納得して頂けたかな?

■条件(2) 新しいおまけにいちいち話題騒然

  新しいのが出そうになると、 「今度のおまけはすげーらしーど。」とお子様からお年寄りまで巻き込んだ、 怪しい報道の数々! やれ「複媒体対応型Pentium」だの、やれ「次世代のMPU」だの、 「驚異的な処理速度を実現」だの、 心臓の弱い人にはお薦めできないような報道ばかりである。 もちろん、それらの報道には陰照やら微かに軟らかい会社の圧力で必要以上のバイアスがかかっているのは言うまでもない。 が、その報道に踊らされて、お子様たちの期待は膨らみ過ぎて今にも成層圏に達しようかという勢いである。 かわいそうに、初心者なお子様は「普通のPentiumでは複媒体拡張できないのか . . .」と勘違いしてしまい、「早く買わないとヒコクミンにされてしまう!」と焦るのだ。 真に受ける方もタコだが、報道するほうにもう少し良心と知識があればこうはならないのだが。で、やっぱり

  • 条件(2) 新しいおまけにいちいち話題騒然
も正しいことがわかったであろう。

■条件(3) おまけは金要らず

  実はおまけを作るのに金はかからない。 お菓子会社や陰照はボランティアやら慈善事業でモノを売っているわけではないので、当然利潤を追求している。 そのために、「おまけ」を巧妙に利用しているのだ。 従って、おまけのコストは本体のコストに比べて遥かに小さいものなのだ(人々がどちらを欲しがるかは別として)。 よ〜く思い出してみよ。 お菓子の「おまけ」というのは、「他では絶対手に入らない」ものではあったが、 決して「高価なもの」ではなかったはずだ。 プロ野球選手のカードでも、 チョコの光るシールでも、アニメのミニプラモでも、「他では手に入らない」という点にのみ立脚してその存在価値があるのだ。 人民はその魅力的なおまけたちを手に入れるために、 本体であるお菓子を買わなければならないという状況に、 巧妙に追い込まれているのだ。 ほ〜ら、やっぱり複媒体拡張も全く同じではないか。 窓辺に戯れるお子様ならいざ知らず、 海千山千の我輩をだまそうったってそうはいかんぜ。 Pentiumの複媒体拡張は、 見る人がみれば「ほんとに御手軽な3分間拡張!」てな感じのセコい拡張である。 そもそも、レジスタの数も合計容量にも変更はない。 キャッシュがようやく倍になったが、まだまだ小さい。 じゃ、いったい何が変わったのでせうか? そう、もっとセコくなったのだ! レジスタの使い方にセコセコモードを追加して、 精度を犠牲にしてその分たくさんのデータを同時に使えるようにしたのだ。 う〜む、どうしてそれだけでそんなに値段がはね上がるのだ? そんなもん、正味の変更部分なんてほとんど無いではないか! もう、セコビッチやコワルスキーも真っ青の悪徳商人ぶりである。 どうしてこんなもんを「次世代のMPU」などといって売ることができるのだろうか? 良心の呵責というものがないのか? ほんとなら、旧来のPentium所有者には「バージョンアップしました」といって無料で送って来る、その程度のものに過ぎんのだ。 基本的に陰照という会社は1.5倍の性能の物を2倍の値段で売ることを信条としているので、性能が高い製品ほどコストパフォーマンスが悪くなる。 で要するに、

  • 条件(3) おまけは金要らず
なのだ。理解したか?じゃ、次行くぞ。

■条件(4) デカい方が目立つ

  複媒体拡張のついたPentiumは通常の奴と同じデカさだが、 問題なのはPentiumIIなるタコな名前のMPUである。 PentiumProとかいう情けないMPUもあったが、 どうしてこのようなシケたネーミングが流行るのであろうか? もっと、こう、聞いただけで速そうなのは思いつかないのかな。 PentiumIIはコードネームでは高級料亭「倉升」だったのが、 Pentiumからさしたる進歩もないということで、 陰照にも多少の良心が残っていたのか、IIを名乗らせることにした。 Proときて、IIときて、今一つPentiumから大きく飛躍できない陰照の苛立ちが伺える。 で、このPentiumIIは、PentiumProから命の次に大事な内蔵キャッシュを別にして、複媒体拡張をつけたシロモノである。 PentiumProがPentiumより速かった一番の理由はその内蔵キャッシュであったので、他人事ながら我輩はとても心配だ。 今は何とかPentiumProより速い周波数で動かして性能低下を取り繕っている。 それはそうと、PentiumIIの実物を見た人はどれくらいいるだろうか? 聞くところによると、あの黒いPentiumIIのカートリッジはファミコンのカセットと互換性があるそうである。 さすが過去の資産を大事にする陰照、 ファミコンとの互換性まで考えてるとは、王者の余裕かな。 でも、PowerPCの新鋭チップ、Mach5はPentiumIIの4分の1以下の大きさしかないのだ。 ちなみに、電力はPentiumIIが43Wも食うのに、Mach5はその6分の1の7Wしか食わない。 同じ周波数での性能は整数、浮動小数点ともMach5が勝っているのに、だ。 4倍の資源を使い、6倍の電気を食っても負けるとは、秋風が身に沁みるのう。 う〜む、今後の陰照の苦労が目に浮かぶな。 念のために言っとくが、性能のためにはMPUのサイズは小さい方が有利なのだ。 小さい方が製造コストも下がるし、電気も食わないから熱くならない。 ま、お店で売れるためにはデカい方が目立っていいんだけどね。結局、

  • 条件(4) デカい方が目立つ
っていうことも成り立つのだ。

  ということで、条件(1)〜(4)までちゃ〜んと満たすので、

「複媒体拡張=お菓子のおまけ

が公式として広く知られることとなったのだ。

  まったく、百戦錬磨のお菓子会社のおまけでさえ、 こうも見事に4つの条件を満たすことは珍しい事を考えると、 陰照にはよほど有能なおまけ企画セクションがあるに違いない。 そうでなければ、この公式の4つの条件をこうも上手にクリアできるはずがないぞ。 MPU業界を制覇した陰照は、もしかして次はお菓子業界を狙っているのか?

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