Tales of Mados & Ringos / 真・窓と林檎の物語
トップ窓と林檎 → 摩訶不思議… 1997.10.06

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真・窓と林檎の物語
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摩訶不思議なホモサピエンス

  今宵は少し趣向を変えて、 初心者が陥りやすい罠についていろいろ書いてみることにする。 で、今回に限り難しい和訳はなしにする。 理由は「初心者の人にも心して読んでもらいたいから」ということにしておこう。 ついでに、自分で蒔いた種を刈る時になってびっくりする人々の話も書いておく。 しかし、知らないとは、実に摩訶不思議な行動を導くものであることよ。

「”ぱそこん”ってこのテレビのことじゃないの?!」
テレビじゃないぞ、それはディスプレイだ。 その証拠にそのディスプレイにはテレビ番組は映らないであろう。 チャンネルもボリュームもついてないだろ? (ま、最近はチューナー内蔵のマシンもあったりするが) コンピュータの本体ってのはディスプレイの下か横にあるのことだ。 他にも、キーボードのことをパソコン本体だと思う輩まで出る始末。 MSXや8001じゃないんだから、全くもう。

 

「もしもし、フロッピーディスクのデータが壊れてるみたいなんですけど。」
「じゃあ、こちらまでそのディスクのコピーをお送りください。」
「わかりました。. . . えーと、等倍で、濃度は普通で、コピーっと。」
あのなあ、コピー機でコピーしたを送られても、 フロッピーの中身はわからないぞ。今の3.5インチは固いからまだましだが、 昔の5インチはふにゃふにゃしてる上に中の磁性面が見えてたりして、 結構あやうい構造であった。そのせいで「フロッピーを送れ」と言われて、 周囲のフニャフニャの邪魔な部分をハサミで切り開いて、 中の円盤だけを丁寧に4つに折り畳んで封筒に入れて送ったという、 律義な孝行息子もいたらしい。

 

「. . .保存しましたら、リセットして、もう一度立ち上がったら、 . . .」
「ええ?? パソコンって立ちながら操作しないといけないんですか??」
そうしたい人は勝手にどうぞ。うーむ、駅前の立ち食いそばじゃないんだから、 どうして立ってやる必要があろうか、いやない(反語)。 まあ、独特な用語であることは認めるが。

 

「ではマウスをここに移動して. . .」
「 . . . こうかな?」
「 . . .あの実際に持ち上げて画面にくっつけなくてもいいんですけど. . 」

  マウス関係では他にもいろいろとある。 マウスパッドが狭くて、端っこに行ったらもうその先へ行けなくて困ってる人。 かわいそうに、画面の端の方へどうやっても行けない人がいる。 マウスを持ち上げて移動してる時は、 画面上のカーソルの位置はそのままなのだってことを最初に教えてあげないとね。 ちなみに我輩が初めてマウスを使った時はそんなこと言われなくても気がついたものだが。 あと、マウスを曲がって持ちながら

「どうも思った方向へ動かないぜ、へへ」
という人もいる。 光学式ならまだしも、中でたまっころが回ってるマウスじゃ、曲げちゃいかん。 「曲がったことは大嫌い」、人間まっすぐ生きないとな。

 

「ねえ、私のこのゲーム、会社の一太郎で使える?」
「. . . 一太郎ってゲームだったの???」
それは一太郎じゃなくて、PC98というコンピュータだ。 一太郎以外の使い方をされなかったから、そんな名前で呼ばれているのだ。 かわいそうなマシンよのう。 そんなマシンが日本中に数百万とあるかと思うと、 哀しい気分になってくる。

  ついでだから、むかし太平洋の向うの米の国で起こったのどかな話も書いておくことにする。 その昔、操作系統なる概念が個人用計算機で広まる前、 計算機にはBASICなるプログラミング言語がついてくるのが常であった。 基本は英語の語彙を土台としたいわゆる高級言語で、 一般人にとっては機械語より多少はとっつき易かった。 あるユーザがプログラムをどうやっても実行できないとソフトハウスのサポートに電話をかけてきた。

  「ではR,U,Nと打って、リターンキーを押して下さい」
「. . .エラーが出ました」
「そんなことはないはずです。ちゃんとR,U,Nと入力しましたか?」
「. . .ちゃんとR,U,Nと打ってます」
「うーむ(もしやまだ見つかっていないバグ???)」
しかし、サポート担当は回線を通して聞こえてくるR,U,N,Returnと打つ時のタイプ音が妙に多いことに気がついた。

  彼は "Are you in?" と入力してましたとさ。 確かに発音はそっくりだけどね。 コンピュータの中に誰かいるとでも思ったんであろうか? トイレのノックじゃないんだから、全くもう。

  自分で蒔いといた種の結果が予想できないという点で、 微かに軟らかな会社もかなり摩訶不思議である。 有り余る金を注ぎ込んでテレビや雑誌であれだけ派手に窓達約百を宣伝しておいて、 実際に購入した人からの質問電話でサポート係が死にそうになると、

「これほど多くの人が家電感覚で購入するとは思わなかった。
だって。 「思えよ!!こら!!」って感じだ。 自分でその通り宣伝したんだろうが。 流し目監督や高い倉の健やかな俳優や、 すまつぷの香りを取る男を使って「あの人も使ってる」って宣伝すりゃ、 何も知らない人が買いたくなるのも無理はない。 新聞には
「有名俳優がいかにも簡単そうに使えると宣伝してるのに、全然使いこなせない」
などという消費者の非難の声が殺到しているとの記事もでた。 しかし社長は堂々と嘘ついて、「サポートが暇を持て余している。」だって。

  ほかにも、 窓達約百のCD-ROMだけを買ってきてCDラジカセに入れて、 ワープロや計算や話題のいんたーねっとができるぞと胸躍らせたが、 結局空振りだった人もいたらしい。 彼は自分の不幸な人生を嘆いたに違いない。 やっぱり、ウソをついて宣伝しちゃいけないよな。 お金があるからって、 マスコミ使って何も知らない一般大衆の無知に付け込むのは感心しないな。

  最近、コンピュータの売れ行きがかなり鈍っていて、年末商戦はどこもかなり苦戦が予想されるそうな。 その理由として、テレビや雑誌が大騒ぎした新しいパソコンとやらを買っても、 無限の好奇心と忍耐力を持たない、ごくごく普通の人には全く使い切れない、 ということに消費者が気がついてきたという事が盛んに言われている。 もう、あのフィーバーには踊らされない、というのだ。 残念だが、その通りだ。 そもそも、広告の8割は嘘だと思って間違いないのだ。 メーカーの言葉に騙されず、買う前に自分で確かめないといけない。

  コンピュータのまわりには、 摩訶不思議な現象ばかり起こるもんである。 しかし、それほど、コンピュータとは人を魅了するものなのだ。

 

「. . . ふぅ、今日はおしまいっと。」
あーあ、いきなり電源を切っちゃダメなんだってば。

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