あなコン/まえがきと目次

まえがき(抜粋)

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 コンピュータを理解することとは、 マウスでメニューのどこをクリックするかを覚えたり、 ファイルをどのフォルダに保存したらいいかを覚えることではありません。 そんな知識はせいぜい3年、早ければ1年もたたずに使えなくなります。 私にいわせれば、そんな雑知識はゴミです。 すぐに色褪せてしまい、覚える時間もそのために働いた脳細胞もまさに浪費です。 燃えないゴミの日に、ちゃんと分別して出してしまってください。頭がすっきりします。

 この本が目指したのは、そんな薄っぺらい知識をちまちま書き連ねることではありません。 薄っぺらくない、コンピュータについていわば「王道」を堂々と行く内容、 すなわち、読者の皆さんにとって10年後、 20年後まで役立つコンピュータに対する根本的な理解を伝えようとしています。 鳥の翼と飛行機のプロペラの違いのように、根っこの部分からきっちり理解することにこそ、 コンピュータ全体を見渡せるようになるための大切な鍵が潜んでいるのです。

 ちょっとだけでいいですから、ぜひページをめくってこの本の目次や中身を眺めてみてください。 電源スイッチの入れ方やマウスの使い方、 作ったファイルを保存する方法なんて聞き飽きた項目はいっさい出てこないことを保証します。 その代わりに登場するのは、インスタント味噌汁や油田のパイプライン、 段ボールで作った自動販売機もどきや蓄音機、人生ゲームをする神様、 カースト制度のピラミッドや動き回るお坊っちゃまだったりします。 一見すると何の関係もなさそうなこれらの項目とコンピュータとの間に共通する本質を描き出すことで、 コンピュータと人間との距離感をはっきりさせること、それこそがこの本が目指すゴールです。

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目次

章や節のタイトルだけからはコンピュータの入門書にはとても見えないですが、 各章のキーワードを見るととても真面目な(=正面突破の)本であることがわかるでしょう。

 なお、技術評論社本書のコーナーには、さらに詳しい目次が載っています。

タイトルキーワードページ
第0章コンピュータを理解するということ9
第1章その味噌汁の塩分はいかほど?エントロピー15
1.1 インスタント味噌汁が商品として存在可能な理由16
1.2 人間の手、ドラえもんの手、そしてコンピュータの手25
1.3 1杯の味噌汁の中に塩を求めて36
1.4 たいへん「ありがたい」お話45
1.5 言葉の塩分量を調べてみよう60
1.6 まとめ:データとは情報を入れる容器である71
第2章油田のパイプラインと伝言ゲームの連続チャネル73
2.1 パイプをつなげ!はて、どうやって?75 
2.2 向こう側とこちら側をつなぐもの79 
2.3 限界の向こう側96 
2.4 濃縮還元的塩水の作り方99 
2.5 まとめ:情報量はわかった、では情報とは?103 
第3章自動販売機はコンピュータ理解の始まり有限オートマトン107
3.1 自動販売機の気持ちになって考える108 
3.2 入ってきたお金を覚えよう113 
3.3 他に似ているものがないか考える125 
3.4 ちょっと難しく考える:抽象化のキモ127 
3.5 まとめ:計算機の動きは絶えずして、しかも元の状態にあらず131 
第4章記憶のカースト制メモリ階層と参照の局所性133
4.1 汝のプログラムを愛せよ134
4.2 蓄音機の針は踊る149
4.3 二兎を追うモノ160
4.4 机の上から遥かなる大地へ180
4.5 まとめ:メモリは1列でもあり、ピラミッドでもある188
第5章顔の細道インタフェース189
5.1 層しないと、やってられない190
5.2 コンピュータには何が見えているか200
5.3 イライラの横顔213
5.4 まとめ:面と向き合う辛さ229
第6章師宣わく「未来は常に移り変わっておる」233
6.1 チューリングの置き土産234
6.2 今日からすぐできること243
6.3 未来へと続く道251
6.4 まとめ:未来は常に移り変わっている267
参考図書272