「伝わる!」説明術

書籍データ

  • 著者:梅津 信幸
  • 出版: 筑摩書房(ちくま新書551)
  • 価格:680円+税= 714円
  • ISBN:4-480-06251-3
  • 発売:2005年08月10日
  • 208ページ
  • オンライン書店

本書発売後の追加情報

  • 2006-03-10:長野県の高校の入試(国語)で、本書の一部が引用されました。
  • 2005-08-22:好評につき、韓国語版の出版について某事務所から出版社にコンタクトがありました。
  • 練習問題の解答例 : 紙面に掲載できなかった分です。
  • 誤植情報:まだありません。
  • Amazon最高位は、(現在のところ)701位です。

帯の宣伝文 by 出版社


たとえ上手は説明上手!
どんなに込み入った話でも、「たとえ」で理解すれば上手に説明できる。
その技法を分かりやすく説く。

カバー折り返しの宣伝文 by 出版社

説明が苦手、という人は少なくない。

うまくいかないのは、実は説明する当人がよく分かっていないから、だったりする。

それに対して「頭がいい人」の多くは、「難しいこと」を「やさしいこと」へと変換して理解している。

だからこそ、説明も分かりやすい。

この「脳内ちゃっかり変換」をするにはアナロジー(たとえ)が欠かせない。

しっかり理解し、上手に説明する上で強力な武器となるアナロジーの仕組み、その使い方を分かりやすく説く本書は、「伝わる!」説明術の決定版である。

まえがきの抜粋(P7〜P9)

 なぜ、あなたの説明は伝わらないのでしょうか? このような本を手に取るくらいですから、あなたはそれを気にしているに違いありません。

 では、冒頭からさっそく結論を書きましょう。あなたの説明がわかりにくい理由、それは

あなた自身がよくわかっていないから

です。 ただそれだけのこと。わかりやすいでしょう。単純な話です。

 本人がよくわかっていないのに他人に理解させようとは、そもそも虫がよすぎるのです。 まるで、働かずに給料をもらおうとか、自転車を漕がずに前に進もうとか、運動せずにダイエットしようとか、 そういう話と同レベルの虫のよさです。 だいたい、他人に説明するだけでも大変なのに、自分自身がわかっていないままで説明しようなんて、どう考えても無謀でしょう。

 さて、根本的な事実を指摘してすっきりしたところで、本書の「説明」に進みます。 本書には、全体として何が書いてあるのでしょうか? それは

まず自分がしっかり理解した上で、相手にうまく説明するための技術

です。 説明する前にまず理解すること、これが基本です。

 世の中にはやさしいことから難しいことまで、実にさまざまなことがあります。 そして、世の中には難しいことを難しいまま理解できる、すごい人々がいるのも確かです。 しかし、私の見るところでは、 「私は難しいコトも難しいままで理解してるのだ!」と主張している人は、次のどちらかです。

  • 数百万人に一人の天才
  • 嘘つき、あるいは単なる勘違い

もちろん、ほとんどの人は後者です。

 実は、世間によくいる「ちょっと頭がいい」人のほとんどは、 ものごとを難しいままで理解しているわけではありません。 頭の中でちゃっかり「難しいこと」から「やさしいこと」へと変換して、 やさしいレベルに落としてから理解しているに違いないのです。

 それを、他人は外側から眺めるだけなので

  • 「あの人はあんなに難しいことがわかってるのか!」
  • 「私にはさっぱりわからないや」
  • 「さすが、頭のいい人は違うなあ」 と感心するわけです。 この「脳内ちゃっかり変換」のしくみにどうにかして迫ってみよう、というのがこの本の目的です。 頭の中で「ちゃっかり変換」ができるようになれば、今までは難しく思えたことも(多少は)わかりやすくなるはずなのです。

 この本で主張したい主なポイントは二つ。まずは

  • 脳内の「難→易」への変換に、アナロジーが役立つのではないか?

ということ。そして

  • やさしいレベルに変換した後の勝負では、「頭がいい」はずの人とそれ以外の人で、実は理解力に差がないのではないか?

ということです。 うまくアナロジーを使って変換さえできてしまえば、それを理解するのは誰でもできる、というわけです。 どうでしょう?自分は説明下手だと思っていた人も、ちょっとは希望が見えてきたでしょう?

…以下、省略

目次

  1. 本書のエッセンスを10分で読む
  2. 良い説明・悪い説明
    1. わかる・わからないの境界線
    2. 説明の4つのタイプ
    3. 良い説明は「わからない → わかった」という変化を引き起こす
  3. 頭のいい人と悪い人との違い
    1. 頭のいい人と悪い人は、この能力が違う
    2. アナロジーとは何か
    3. アナロジーの触媒効果で理解が進む
    4. アナロジーで変換したあとの理解力に差はない
  4. 使えるアナロジーをどう作るか?
    1. アナロジーが成り立つしくみを分析する
    2. アナロジーの実例集
    3. 良いアナロジー、悪いアナロジー:評価基準
    4. アナロジーには頻出パターンがある
    5. アナロジーの練習問題 → 解答例はこちら
  5. アナロジーで説明する技術
    1. 説明はいつも一次元
    2. 数字より意味を、データより評価を
  6. アナロジーは取り扱い注意
    1. 強力な武器ほど管理を要する
    2. アナロジーについてのよくある批判
    3. 説明は説得ではない
  7. 筋力と脳力が衰えた現代人


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